立ち寄ったいつもの図書館、本の配置が少し変更されていた。
そのせいか、普段目に止まらない本が視界に入って出会ったのが、「山と山小屋」。
山登りの予定があるわけでもないのに、手にとったのは、文章を担当している小林百合子さんを、富士日記の筆者である、武田百合子さんと一瞬勘違いしたから。
が、その勘違いが大当たり。写真が、写真が、もんのすごく好きだった。昼休みにページをめくりながら、山と山小屋の写真を見てじんわり涙がこみ上げてきた。
“山小屋”と言うところには行ったことがない。それなのに、この写真が呼び起こす懐かしさは一体なに?子供のころ、親に連れられて登った山。高校の頃、学校を飛び出した時、目指したのは地元の小高い山だった。山登りを趣味としていた、父の山の道具。無骨であったかそうな厚手の靴下やウールの上着。
山にまつわるそれほど多いとは言えない記憶がじわじわと湧いてくる。
私の頭を山モードにした、写真家の野川さん。好きな写真家がまた一人増えた。
偶然の嬉しい嬉しい出会い。