まだ赤ん坊の弟をぴょんと跨いだことを、父に怒られた。
そして、そのことに腹が立って仕方なかった私は家を出ることにした。
夕方コアラのぬいぐるみを持って出ようか迷ったが、抱えるほどの大きさのぬいぐるみは、当ての無い家出には不向きだ、と判断した。
近くの小学校へ向かった。それから、家のすぐ目の前の森へ。
薄暗くなっていく。心細くなっていく。自転車にのって走り行く母親の姿は、私の居場所と逆の方向へ向かっていく。
その後私は無事に探し出されて、家にかえって夕食を食べた。安堵と照れくささにまみれながら。
ほうれん草のおひたしがメニューの一つだった。あまり好きじゃなかったけど、その日は文句は言えなかった。
6、7歳の頃の思い出である。
子どもの頃、あまり好きじゃなかったほうれん草。今では好きな野菜の一つだ。
実家から届くほうれん草は格別においしい。