作業部屋から向かいの家の2階の窓が見える。夜はずっと明かりをつけたままのその部屋の窓に、はっきりとへばりついているものが見える。
ヤモリ君、うわきしてるやん。
なんでウチじゃなくて、向かいのお家なん?
しばらく私のウチに姿をみせないと思ったら、あんなところにおるやんか。
そこでしばし考える。あの、お向かいの2階のヤモリ君はウチの台所のヤモリ君と同一人物(同一ヤモリ?)なのかどうか。考えた末、やはり同一だ、という気がしてくる。
そして私は、ウチの台所じゃなくて、お向かいの2階の窓にヤモリ君がいるのを発見してなんだかがっかりしている。がっかりする理由が自分でもよくわからんが、でも見上げた向かいの家の窓にヤモリ君をみかけると、ちぇウチじゃないのか、という気分になるのだ。
そんながっかりに気づいたわけはなかろうが、この間は久々に台所の窓にヤモリ君が。おーおー、お帰り、という気分。
しかし、網戸とガラス窓の間にいるようで、この子ちゃんと外に出られるのだろうか?と、その白い腹を見ながら思う。ついでに、その腹がぷっくりとしているので、串焼きにしたらおいしいだろうか?などとも思う。
いろいろ思ったついでに、インドネシアに居たころ、当時住んでいた家には常に数匹にヤモリが居たことも思いだした。住んでいた家だけじゃなくて、もういたるところにヤモリという小動物はいた。時々しめった柔らかものが上から落ちてきて、ひぇっ、と横っ飛びすることもあった。天井から落ちてしまうやつがいるのだ。
かわいくて、おいしそうなヤモリ君。
今日はお向かいの窓にもウチにも居ない。なんだか寂しいような気さえする。